北海道新幹線、1年間の利用状況
2016年3月27日に開業して1周年を迎えた北海道新幹線。その利用状況と今後の課題とは?
北海道新幹線は新青森から新函館北斗間が2016年3月27日に開業し、JR北海道は、その開業1周年にあたる2017年3月27日に集計結果を発表し、開業後1年間の利用人数が、前年の在来線の1.64倍にあたる229万2000人に上ったと発表。
これは1日の平均にすると6300人の利用者数となり、夜行列車を除いた利用者数との比較では約2倍近く増え、想定の5000人を上回る結果となりました。また座席の内訳は、普通車が33%、グリーン車が27%、グランクラスが29%となり、平均乗車は32%となりました。(利用人数の集計は新青森―新函館北斗間が対象)
宿泊客数もそれに伴い伸びており、函館市内の宿泊施設ではピーク時をはじめ、予約が取りにくい状況が続いたといいます。こうした受入れにこたえるため、新函館北斗駅前には新しくホテルが誕生し、また函館駅前にも2018年、2019年、ホテルが2棟建設される予定です。
函館市内の代表的な観光スポットも前年を上回る利用者が訪れ、観光客は増えているようです。興味深い情報の一つとして、北海道新幹線の開業以降、東北新幹線(盛岡ー八戸間)の利用者数が前年より16%ほど増えていることがあり、これは北海道を訪れたインバウンド観光客が新幹線を使って東北へ足を延ばしているケースが増えているのだそうです。
この波及効果に伴い、JR北海道では閑散期対策の割引商品を発売したり、インバウンド観光客向けに海外で事前予約ができるようにする動きがあるそうです。また無料の無線LANWi-Fiを設置する駅の拡大なども図り、より一層インバウンド受け入れ態勢を強化する狙いです。
北海道新幹線を利用する人のほとんどが、新幹線に乗ること自体が目的であったり、観光目的。ビジネス目的で利用する人はやはり航空路を選択する傾向があります。航空会社の2016年の上半期の搭乗者数は97%となり、「東京まで4時間」はビジネス目的ではまだ越えられない壁であるといえます。2年目以降は地域住民やビジネス目的の利用を促進する対策も必要となってくるでしょう。
ただ、道南からバスなどとの接続や旅行客の他地域への誘導をどうしていくか、二次交通がまだうまく整備しきれていない点、閑散期と繁忙期の落差が大きい点などが2年目の課題になるといえるのではないでしょうか。