高校生による初日本酒「忠-なかごころ」販売開始
エクスペリエンスニセコでも特集で掲載していました、倶知安農業高校の生徒の皆さんと地元酒蔵のコラボレーションによる日本酒、「忠-なかごころ」の販売が開始しました。
エクスペリエンスニセコ夏2020誌面(日本語セクション)でも取り上げさせていただき、また英語版の外国人スタッフも田植え、稲刈り、酒造見学会まで季節を通してプロジェクトに参加させていただきました、倶知安農業高校の生徒の皆さんによる初めての「日本酒造り」は、ついに商品となって2020年9月7日にお披露目となりました。
倶知安農業高校は、農畜産物の生産から加工までの一貫した知識と技術が学べる農業高校です。実習部長でもある西村忠夫教諭が酒米に興味を持ち、2019年に始まった高校生による酒米プロジェクト。それまでは、酒用の米は食用とは違い、特殊な精米方法であるため、全工程を考えれば学校での酒造りは難しいとされていました。その後地元の二世古酒造との縁や、多くの町民の皆さんの協力により、ようやく本格的に実現にこぎつけたそうです。
未成年「高校生」によるお酒造りは、取材当時の2019年夏、期待と不安の中「まずは地域に名前が知られるようになったら、世界に向けて発信したい」「自分たちが飲めない分、違う世代に向けて作ることの難しさはあるが、とても楽しみ」「うまくいけば2020年5月ごろには完成する予定です」と目を輝かせながら語ってくれていました。ですが年が明けて2020年3月、大変残念なことに西村教諭は急病のため他界され、その後、世界情勢を大きく変えたパンデミックの影響もあり販売予定も遅延します。倶知安農業高校の後任の先生より、ついにお酒が完成しましたと連絡をいただいたのが2020年7月。多くのメディアや、完成を心待ちにしていた人々が集まる中、9月7日に販売開始となりました。
「”多くの方に真心をこめて届けたい”という想いから「忠」とかいて、「なかごころ」と名付けましたー」と挨拶が始まりました。生徒たちとともにこの日を楽しみにし、そして見届けることが叶わなかった西村教諭の名前の一文字でもあるこのお酒には、生徒たちの特別な想いが込められています。
仕上がった日本酒は、芳醇な香りが魅力の純米吟醸原酒で、試飲をした人たちからは、キリッとしていて美味しいと好評。今年は1800本が製造され、町内や二世古酒造で1本2530円(720ml)で販売されます。これからも倶知安農業高校での酒米造りは継続される予定で、来年醸造するための酒米の準備に取り掛かっているそうです。