ニセコ町人口増加は高度成長期並み
外国化する倶知安町、ニセコエリアの人口増加は高度成長期並み
ニセコ町の人口は2016年6月の時点で4901人。国勢調査の結果からみると、1975年以来の高水準となっており、まるで高度成長期並みだという。また、隣接する倶知安町では、冬季は特に、スキーリゾートに従事する関係者やインストラクターが多く移住するため、外国人の移住者がますます増加し、2015年には過去最高の809人となった。通年通しての移住者も多く、2016年10月6日現在457人、世帯数にして336世帯、これは倶知安町全世帯数7838世帯の約4.3%を占める。全国都道府県の外国人移住者割合1位の東京都2.4%を上回る数字になっている。また、ニセコ町に関しては3.5%ではあるものの5000人に満たない小さな町でこの割合は異例な人口数だといえる。
冬にあふれかえる海外からの観光客に向け、小さな町にはまず見られない外貨両替機、また海外のクレジットカード対応のATMマシンの設置など、様々な取り組みがされている。ニセコでの外国人宿泊者数は、昨年度には前年度に比べ約18万人も増加し88万4000人にまでのぼった。そのうち12月~2月までの3か月間がスキーシーズンのピークでもあり、全体数の70%以上を占める。
平成23年度からの統計を見てみてもその数は右肩上がりで、今後も大手ホテルやコンドミニアムが建設されることを考えれば宿泊者数だけでなく、雇用による外国移住者数はまだまだ増加すると思われる。また、移住者が結婚し家族を持つことから、ちょっとしたベイビーブームにもなっている。2014年3月の統計では、1000人あたり9.9の出生率は全国の平均出生率8.0よりも多く、2013年のエリア内の出生数は48人だったという。
表を見てもわかるように、国別での観光客で最も多いのはオーストラリアであり、次いで香港、中国、台湾・・・とアジア圏が目立つ。伸び率は47%と中国が抜きんでている。
倶知安町の住宅地の地価は全国一の上昇率になったことも記憶に新しいが、2030年の新幹線開通にむけてさらに新たな開発が進む。
町が大きく変わっていく中で、住民たちの懸念は、景観維持と開発投資の規制だろう。調子のよい時期に投資開発が進み、過熱しすぎると、スキー客の減少による人気の低下でさびれた温泉街やスキーリゾートのようになりかねない。
大手の外資系のホテルやコンドミニアムなどの建設により町の自然や景観が損なわれていくだけでは、リゾート地としての価値を高めることにはならない。行政側がきちんと規制し、宿泊施設数だけを増やすのではなく、スイスのサンモリッツのように、その質を高める取り組みにシフトするべきであると倶知安町の西江町長は考えている。
倶知安町では2006年から建物が白樺に隠れるよう、22メートル以下と定めており、それに賛同する投資会社がいることも事実だ。リゾート開発と自然景観の保持との間には然るべき対策が必要不可欠であり、目先の儲けよりも、そのために壊された自然の恩恵を受けていることを思えば、何が大事で何を優先すべきか自ずと答えは出てくるはずである。参入する側、受け入れる側双方が長い目で見、より高い意識を持ち、他のリゾート地とは一線を画す、質の豊かなリゾー地、”Niseko"に発展していってほしいと願う。