十峰十色:ニセコ連峰の山々
日本海からひらふ周辺まで連なる広大なニセコ連峰は、特徴を持つ個々の山々が連なってできています。ハイキングシリーズ第3弾ではニセコ山系の主要な山々を紹介します。
西は日本海沿岸から、東は羊蹄山の麓であるニセコエリアまで、東西25kmに渡って連なって形成されている火山群、ニセコ連峰。その東端にあるニセコユナイテッドリゾートは世界中のスノーラバーを惹きつける降雪量と上質なパウダースノーの聖地でもあります。その古くは200万年以上も前に形成されたとされており、新しいものでもおよそ7000年前の火山活動によって形成されたと言われています。
火山活動によって形成され、冬には十数メートルを過ぎる降雪量を誇るという共通点がありながらが連なる各山にはそれぞれ独特の特徴や形状から、山の表情もまちまちです。今回はニセコ連峰に連なる主要の山の特徴をご紹介します。
雷電山 (1,211m)
ニセコ連邦の中でも最も古い山の一つで、岩内町と蘭越町にまたがる西の端に位置しています。観光客の多くは東側に滞在することが多いため、西端にある雷電山へのアクセスは多少不便なところはありますが、麓には雄大な原始林の景色を、そして稜線に上がると高山植物や池塘が作り上げる非日常的な景色も楽しめます。初心者には、雷電山の南側麓のコックリ湖までの1時間ほどのトレッキングがおすすめです。
岩内岳 (1,086m)
同じくニセコ連峰の中でも西山系は、東山系に比べれば目立ったエリアではないにせよ、隠れた名峰があります。岩内岳もそのひとつで、円錐形の成層火山のため、比較的なだらかで歩きやすい山として人気登山スポットとして知られています。登山道にはたくさんの彩りを見せる高山植物、また岩や松のまるで庭園のような組み合わせが山歩きを楽しませてくれます。山の麓には、今は廃業となっているかつての岩内国際スキーリゾートのリフト跡があり、この辺りは現在冬季にはキャットスキーツアーで、手付かずの新雪を楽しめるスポットとして年々活気付いてきています。
目国内岳 (1,220m)
岩を積み重ねたような特徴的なピラミッド型溶岩塊が印象的な頂上を持つ目国内岳(めんくんないだけ)は隠れた名峰として冬のバックカントリー好きにはよく知られています。北側斜面は、7月ごろまで雪が残る、この辺りでは最も雪解けが遅い斜面として知られ、西側には沢登りで人気の目的地であるパンケメクンナイ湿原が広がります。
シャクナゲ岳 (1,074m)
元はシャクナゲの花が多く咲いていたという所以で名付けられたという説があるシャクナゲ岳。周辺にはシャクナゲ沼、長沼等いろいろな沼があり、特に神泉沼は家族向けのトレッキングスポットとしても人気です。
チセヌプリ (1,134m)
アイヌの言葉で「アイヌの伝統家屋=チセの形をした山」として名づけられている通り、お椀をひっくり返したような特徴的なドーム型の形状の山です。麓の大湯沼からは大量の硫黄泉が噴き出し、このエリアの温泉にもお湯を提供しています。かつてスキーリゾートとして賑わっていた頃は、ニセコを訪れるバックカントリーライダーのメッカとして知られており、今も夏、冬問わずに人気の山です。
ニトヌプリ (1,080m)
北峰と南峰からなる双耳峰として知られているニトヌプリは、風などの影響が少なく悪天でも楽しめるということでバックカントリーで人気の山です。「森のある山」を意味するアイヌの言葉は「ニドム・ヌプリ」に由来するそうに、まるで等間隔のような木々が立ち並び、特に秋の紅葉はとても美しく、ニセコパノラマラインでのドライブからも紅葉狩りが楽しめます。
イワオヌプリ (1,116m)
ニセコ連峰の中でも間違いなく、1、2を争う人気の高い山です。アイヌの言葉で「硫黄山」と意味するこの山は、ニセコ連峰の中でも最も若い火山で、山肌は硫黄の結晶や火山礫に覆われており、他とは違った風景が楽しめます。また、麓は五色温泉として知られ、噴気活動を伴う温泉が噴出しています。夏も冬も人気な山ですが赤いナナカマドの紅葉と緑のハイマツのコントラストを楽しめる秋が特におすすめの山です。
ニセコ アンヌプリ(1,308m)
正式名は「ニセコアンヌプリ」ですが、「アンヌプリ」だけの愛称で呼ばれることがほとんどで、今は世界的なリゾート地と知られるNiseko Unitedがあるニセコ連峰の最高峰です。冬のスキー・スノーボードだけではなく、春は山菜、夏は登山、秋は鏡沼の紅葉と、一年を通して楽しめる、羊蹄山と並んでニセコエリアのシンボルとしてローカルにも愛されている山です。
おまけ: ワイスホルン (1,045m)
ずっと以前にニセコワイススキー場として栄えたワイスホルンは、まだそのリフト跡も残っており、今ではキャットスキーツアーでリフト終点地点まで運ぶスキー場として賑わっています。近くにあるアンヌプリやイワオヌプリよりも前に形成された山で、厳密には地理的にはズレがあり、「連なっていない」ため、ニセコ連山のひとつとして認識するべきかどうかの議論がなされたこともありますが実は地元人の中では以外の人気者です。
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