アウトドアの大敵、ブヨに関するヒント
音もなく忍び寄り針で血を吸う蚊とは違い、皮膚をかみ切るブヨはまるで吸血鬼
ブヨってどんな虫?
皆さんの中にはバーベキューやアウトドアをしていて虫刺されに後から気づき、あれ?いつもなら収まるかゆみが、収まるどころか痛くなってきたぞ?というような経験はありませんか?
ブヨ(北海道での呼び名はブヨが一般的です)また関西地方ではブト、正式名称はブユとも呼ばれ、漢字は「蚋」と書きます。ブヨは双翅目(ハエ目)、カ亜科のブユ科に属する昆虫で、日本では約60種類が知られています。見た目はコバエによく似ています。
ブヨは蚊と同じようにメスだけが哺乳類から吸血します。人に限ったことではないんです。通常は果汁や花の蜜などを摂取していますが、産卵を控えたメスはたんぱく質が不足するため、他の動物から補うんです。
ブヨは羽音をさせずに近づいてくるので、蜂や蚊のように気づくことはあまりありません。冬季の寒い時期以外は活動しているので夏だけではなく実は年中噛まれる可能性がある虫です。
また、ブヨの幼虫はとても綺麗な川を好み、汚れた水中では生きていけません。なので、ニセコなど水質の良い環境に多くブヨが生息しているのは納得です。
蚊とブヨの吸血の違い
蚊と同じように吸血するにしても、吸血方法に大きな違いがあります。蚊は針(口吻と呼ばれるとがった管)を毛細血管に突き刺して直接吸血しますが、ブヨはなんと顎で皮膚を食いちぎり、出血させて血を吸うのです。
蚊は針を刺すときに、麻酔成分の入った唾液を注入します。ブヨは皮膚をかみ切るので、事前に麻酔成分を塗り、痛みを感じることは少ないのです。でも吸血後、ブヨの場合はびっくりするほど腫れあがり、猛烈な痒さと痛みを引き起こすので、蚊よりも断然たちが悪いといえます。
ブヨの唾液には酵素毒(スズメバチやムカデにある)が含まれているため、少量であろうと傷口は腫れあがります。皮膚を食い破るため、組織を破壊して出血させることにより、毒素が体の奥に浸透するんですね。この唾液に対するアレルギー反応と、毒素の浸透によっておこるのが痛みやかゆみ。数時間~2~3日後に強い反応が出ます。
よく子供の足首や腕に噛まれた後の傷口が見えますが、引っ掻いていくほどに毒素が広がり、傷口だけでなく、リンパ節などにも腫れが拡大します。ばい菌も入りやすくなります。
ブヨ対策
ブヨは太陽が苦手です。比較的涼しい朝夕が最も活発です。薄暗い場所、湿度の高い水辺のやぶや草木の茂った場所を好むので、キャンプ場や河原などで被害にあうことが多いです。
蚊と同じで、温度や湿度、人の汗から分泌される乳酸に反応して近づいてくるので、肌を露出しない服を着て、汗のにおいを消し、ブヨの苦手な明るい場所や明るい色の服装を着て予防しましょう。
大事なヒントとして、ブヨには一般の虫よけスプレーはほぼ効果が期待できません。ブヨはハッカを嫌う性質があるので、ハッカオイルをまとうといいといわれています。
噛まれちゃったら?
通常、噛まれると傷の治りは遅く、1~2週間かかったり、体質によっては1か月ほどかかる人もいます。どうしてもかゆくて掻きつぶしたくなりますが、更に治りが遅くなるので絶対に傷に触らず、掻かないようにしてください。子供には、制御が効かない分、かゆみ止めを塗った後に、ばんそうこうで覆うのも一つの手です。
かゆみ止めとしては、ステロイド系のかゆみ止めが効果的です。副作用を起こすこともあるので、必ず皮膚科で相談してください。
冷やすべきなのか、温めるべきなのか・・・ブヨに噛まれたら、傷口を温めることによって痛みやかゆみを軽減することが可能です。
傷口に蒸しタオルを載せたり、43度以上の熱めのお湯をシャワーでかけることによって浸透した毒素を変性させ、中和することができます。必ず、43℃以上の熱めのお風呂、と覚えてください。なぜならブヨの唾液に含まれる酵素は43℃以上の熱で変性するからです。
水のきれいなニセコエリアには、こうした夏の天敵、ブヨや蜂が多く潜んでいます。蚊取り線香は蚊に有効ですが、ブヨ対策には、ぜひ、ハッカオイルを使ってみてください。噛まれても、掻かない、そして熱いお湯で温める、ステロイド系の虫刺され塗り薬を塗り、我慢。
アウトドアが活発になってくる夏、虫対策を忘れずにめいっぱい夏を楽しみましょう。