ニセコで出会う野鳥たち

ニセコの森でも多種多様な鳥たちが生息し、命を繋いでいます。静かに声のする方へ目を向けながら時間をかけて観察してみませんか。

森に入ると、空を見上げたくなる。まるで高い樹木に守られているようで、思わず深呼吸。歩くと小さな枝がパキパキと折れる音、都会のようにけたたましくない、清々しい蝉の声や、遠くで鳥のさえずりなど様々な音に出会います。よく耳をすますと、鳥の鳴き声はどれも違った個性あるものばかり。さぁ、その「声」を聞き分けながら、その「姿」を想像し、実際に出会ってみてください。ニセコ ネイチャーガイド、フォレストレックの矢吹さん監修のニセコの「夏鳥」をご紹介します。

ニセコの森、バードウオッチングの世界へようこそ。

【オオジシギ】

Oojishigi Wild Birds

畑や草地のそばを歩いていると、上空から「ズビャーク、ズビャーク」という変わった声が聞こえます。するとその後、自分に向かって落ちてくるように「ズボボボボ…」という激しい音が聞こえてきて、少し怖い思いをすることがあります。その犯人はオオジシギ。別名『雷シギ』とも呼ばれます。

音の正体は、前半部分は“声“で、後半部分は急降下しながら尾羽を震わせて出す”羽音“。このふたつの”音“で、メスに求愛しています。特に夜間に聞かれることが多いようですが、怖がることはありません。必死なラブコールですから。

【センダイムシクイ】

Sendaimushikui Wild Bird

日本には“聞きなし”という文化があります。これは鳥の声を日本語に文字化し、時には意味のある“言葉”に置き換える、というもの。センダイムシクイのさえずりは、『焼酎一杯グィー』と聞きなされます。

一般的にさえずりが多く聞かれるのは繁殖期である5月から6月ですが、センダイムシクイのさえずりはこれ以降でもよく聞くことが出来ます。ニセコでは個体数の多い鳥のひとつなので、声を覚えておくと気づきやすいかもしれません。見た目は少し地味な鳥ですが、『焼酎一杯グィー』の声を頼りに歩いてみて下さい。

【コルリ】

Koruri Wild Birds

コマドリに似た「ヒンカララララ」という美しい声でさえずりますが、よく聞くと、とても小さな声で「ヒッヒッヒッ」という“前奏”を付けてから大きな声で「ヒンカララララ」と鳴いています。この「ヒンカラ…」の声が聞こえたら、静かに立ち止まり、もう一度鳴くまで前奏に耳を澄ませてみましょう。

コバルトブルーの背と真っ白な腹がとても美しい姿ですが、笹薮の中の地上付近を移動するために、実際に見られることは稀。それでもニセコでは個体数のやや多い鳥なので、笹藪付近を探せば出会えるかもしれません。

【キビタキ】

Kibitaki Wild Birds

森の中で一二を争う歌い手。とても美しく複雑なさえずりで鳴き、見た目にも黒い背中に黄色の喉や眉が目立ちます。

地上から数mほどの横枝に止まってさえずり、周囲を巡回するように少し飛んではまた止まってさえずり……を繰り返すので、遠くに飛び去ってしまうことは少なめ。見つけたら足をそっと止めて観察をしてみましょう。

でも実はこの行動はキビタキの強い縄張り意識に由来するもので、もしかしたらアナタを侵入者とみなしているのかもしれません。しばらく観察したら、早々に立ち去ってあげましょう。

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この記事はエクスペリエンスニセコ夏2020の「Wild Birdlife ニセコで出会う野鳥たち」から抜粋したものです。夏鳥以外にも、ニセコで一年中見られる留鳥もご紹介しています。全編はこちらから。

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